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ダニーボーイズを見て

舞台覚書 好きなものについて

 

 

 

ネタバレを含みます。

そして好き勝手言ってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラップごしのキッスがある以外は何も作品に対する情報を入れずに入ったダニーボーイズで、幕が開いた瞬間に「幸男は死ぬ」とわかってしまった自分がいた。

おそらくそういう意図で構成されていたし、言わずもがな出演者は全員その事を知ってる。

そして、幸男は、最初から最後まで自分が死ぬことを知っていた。

 

見終わった後のもやもやを考えて考えて考えて考えて、一晩考え抜いて朝起きても考えて、その違和感を仮定して繋ぎ合わせていくと、私の解釈はこうなる。

 

ダニーボーイズはスピンオフ作品で、本筋の話は別にあり、真田くんではなく、幸男が、自分が死ぬことを知っていた。

箇所箇所に幸男はどうしているか、という問いかけがあり、その度に近づいていく死に私はずっと絶望していた。舞台中ずっとまだ死んでないよ、まだ死んでないよと言われていた。

 

ポジティヴ男だという話だったけれど、幸男はポジティヴな面が舞台上において印象強いだけで、とっても悲しい表情や、全てを見透かした表情する。

顕著にあらわれるのは二幕から。突然表情が変わりだす。

 

人は生まれた時から死ぬんだ、という漠然とした死を「知っていた」のではなく、自らが死ぬことをを知っていた。

もしかしたらあの日、飛行機の事故で死ぬところまで知っていたんじゃないかというとんでもない事を考えてしまうくらい、「自分の終わりを知っている」これが一番しっくりくる幸男だった。

 

私が真田くんの演技を舞台上で認識したのが、少年たち。入った回は実はミスノの演技がグダグダな回で、今ほど舞台というものに重点をおいていなかった私は担当であるキスマイを見られればそれで良かったのもあり、真田くんの印象はそんなに残っていない。

次がオーシャンズ11。セリフが早くなってしまう、ただ言っているだけに聞こえてしまう、そういう印象が残ってあまりレポにも書いていない。百識で見ていた真田くんと違う人がそこにいた。ドラマで見ていたあのとんでもない自然な演技と、眼を見張るような、好きな子に素直に好きと言えないで強がってしまうそんな男の子の演技はそこにはなかった。

 

次が、コイベビ。私の見てきた真田くんはそこにはいなかった。疲れ果てた駅員。あの色気は凄まじいものだった。真田くんは死を匂わせる演技が特出していると感じた。そういう人間の内面を見て生きてきたんだろうし、そういう感情が渦巻く中で生きている、年齢を重ねたんだと理解した。

 

そんな印象を抱いたまま入ったダニーボーイズ。

歌を歌うのが大好きな幸男という役、という触れ込みだった。そのままを受け取って、真田くん今回そんな可愛い役なのかー!真田くんの歌声が聞けるのかー!と軽率に入ることを決めた私はもう全身滅多刺しにされた。

最初から最後まで鬱だった。

そして、幸男ではなく真田くんは、全部確信犯でやっていた。明るい前向きな男である事は間違いない。それが作品の幸男という男のキャラクター設定だ。

でも、真田くんはそこで終わっていなかった。

作中でも刻々と状況が変わっていく、悩み苦しみ、別々の道をいく選択をする。

全てただ明るい歌っているだけのキャラクターを演じていたらいいわけじゃない。

真田くんはそこをわかっていて「明るい歌が大好きな役」だと言った。

騙された!と思った。真田くんは死を匂わせる演技がうまい事を忘れていた。歌うことが大好きな幸男という役、を隠れ蓑にして、役者真田佑馬がそこにいた。

 

終わってからずっとずっと真田くんとお話がしたい、真田くんに聞きたいと言っていた事はこれだ。

 

なぜ最初から最後まで、幸男を「死ぬ事を知っている男」として演じたのか。

不慮の事故だったら、その時が来るまでただただ明るく生きるという死を知らない幸男として振る舞う事も可能だったはずだ。でも真田くんは死ぬ事を知っている幸男を演じていた。

 

この答えを聞ける事は一生ないだろうけど、ずっとずっとその答えを欲してしまっていまとても辛い。

真田くんに直接聞くことが出来ないなら、せめて誰か教えて欲しい。