浪漫で人は殺せるか

活動の記録

2015年10月23日 稲川淳二怪談オールナイト

稲川淳二さんの公演は実は初めてだった。
生じゅんじ。
それこそ夏といえば、怪談といえばこの人という世代に生まれた私。稲川さんがお笑いのような事をされていた記憶もおぼろげにあるが、やはり怪談。
普段一年中稲川さんのお話を寝ながら聞く習慣があるくらい聞き込んでいるので、作品になっているものなら冒頭を聞けばどんな話なのか説明できるくらいには大好きである。

しかし、私はジャニオタ。ジャニーズ一番。
お金はジャニーズに払いたいので実際そんなに資金に余裕があるわけではないが、7千円近い金額を支払い夜中の神奈川での公演にたった一人で行くことに決めたのは、他でもない「このまま稲川さんの事を見ずにいたら、近いうちに稲川さん死んじゃう」と思ったからだった。
過去には癌も患い、還暦はとうの昔に迎えられている。
なにより噺家さんはとしをとると体よりも呂律が先にくる。
どれだけおはなしの上手な方でも、お体はお元気でも、口が回らなくなる。
ご本人がおはなしをされる事をやめるまえに、その前に見ておかなければという危機感からの参戦だった。

本当は二年前に地元へお越しになった際に会場へ行く予定だったが仕事で希望叶わず。
その次の年は千秋楽のチケット発売を逃し断念。
念願叶った今年の千秋楽公演だったのだ。

前日に救急車騒ぎで寝不足の中仕事終わりに急いで支度を整え、電車に飛び乗りまずは蒲田で腹ごしらえ。
一人でファミレスに入ったが、深夜のファミレスには本当に色々な人がいる。
正面には一点を見つめ、このまま電車にでも飛び込んでしまうんじゃないかという空気をまとった女性。その横には4人ではしゃぐ中学生にしか見えない女の子(18歳以上だったようです)私の右には延々と職場の愚痴を言い合う若い女の子。左にはおそらく四十代の男女が静かに楽しそうに歌を歌っていた。
こういった風景から稲川さんを感じる事がある。
稲川淳二さんの喋りかたを面白く真似される方がいらっしゃるからか、稲川淳二さんの作品に対する一般の評価というのはファンにとっては気持ちのいいものではない事がある。(真似されている方云々ではなく、受け取り側の問題)
しかし稲川さんの作品はどれも描写がはっきりとしていて、登場人物の人間像を想像しやすく、なおかつ、場所やにおいまでときに感じる事ができる方である。
おそらく稲川さん自身、交友関係が広く、人当たりも良く程よく遊び、嫌な思いもし、そうしたものを全て観察し自分のものにしているからこそできる話し方だと思う。
作り物かそれとも事実あったことをそのまま話しているかなどという詮索やあげあしどりは無粋にもほどがあるので、ほんとかな?本当にそんなことあるのかな?程度にわくわくと楽しむのが怪談本来の楽しみ方だと私は思うよ。(テレビでやてる心霊映像なんかは創作だと舌打ちしちゃうけど)

ドリンク代500円とチケットを握りしめ、入り口左のドリンクスペースで定番の水(今はいろはすが主流なの?)を受け取り早々と着席。クラブチッタには10年以上ぶり、最近はEXシアターに行き慣れていたのと、チッタが指定席という点でこんなに小さい箱だったか??とまずはじめに思った。

セットは昔のアパート。おそらく風呂なしトイレ共同。下手に自転車や物干し竿があり明かりを取り込む窓があるが二階はカーテンがしまっている。一階はずっと窓があいてたのかなー…途中で空いたのは錯覚か。上手は建物自体も壁メインのもの。

立ち見客も10人はいたように思う。

開演時間になると女性が上手から現れ、注意事項などを告げて、それから稲川さんの登場。
真っ暗になることが普通の舞台ばかり見ているからか、登場した稲川さんの方から客席が見えるように客電が少し明るくなったのは驚いた。

手を振りながら、上手、センター、下手にご挨拶。
客席からはじゅんじーーー!!の大歓声。
聞いてはいたもののまるでアイドルのようだった。
……アイドルよりもファンサは丁寧だった笑。
あーいや訂正。クリエの安井くんみたいな一人一人の目を見たファンサだった。
それで私は察する。これは稲川さんがファンにありがを伝える場なんだなと。

その間ずーっと拍手も鳴り止まない。
とってもよく訓練さらているファンだ。

つづく?